にゃんこさ~ん、うかない顔してるけど、どうかしたの?
なんだかパンの塩味が濃いんだけど、どうしてなのかな?
Ⅰ. パン作りに使う「塩」の種類って大事なの?
1) お塩の役割4つ
パンにお塩を入れる目的は以下の4つです。たった2%程度ですが、重要な役割があります。
①味や風味をよくする
②雑菌が増えるのを防ぐ
③生地に弾力や伸展性を与える
④発酵を適切に調整する
2) 塩の種類によって味や風味が変わります
「食塩」は、ほぼ”塩化ナトリウム”。純度が高いのです。
比べて「粗塩」は、塩化ナトリウム以外の成分(ミネラル)も多く含んでいます。
にゃんこさんは、パン作りに”食塩”を使っていたんですね!
教室でいつも使う”粗塩”(あらしお)に変えて頂いたら、いつもの美味しいパンに仕上がったようです
3) お塩を入れ忘れたパンはどうなる?
「塩」が入ってなくても膨らみますので、焼けば見た目は「パン」になりますが、
塩味がしない上に、香ばしさやほのかな甘さも感じられなくなります。
とっても味気ない、ぼやけた味のパンになっちゃいます(+_+)
そうなんだ、「塩」ってたった2%なのに重要なんだね!
今日は、パンを作る時はもちろん、お料理には欠かせない日本の「塩」について、わかりやすくまとめてみたよ!
日本の塩は、成分で大きく2種に分かれます。
”精製塩”(せいせいえん)と”海水塩”(かいすいえん)です。
Ⅱ. 精製塩って?
1) ”精製塩”はいわゆる「食塩」(しょくえん)です
☆英語では、”salt”
✩塩(食塩)小さじ1=6g
✩塩ひとつまみ(親指、人差し指、中指の3本の指でつまんだ量)
=約1.5g
2) 「食塩」の特徴
●「塩化ナトリウム」の純度:99.5%以上 精製しているので、ミネラル分はほとんどありません(–;)
●最も価格が安く、世界に広く普及しています。
●原料は、輸入の「天日塩」や「岩塩」です。
食塩は、ほぼ「塩化ナトリウム」。
お砂糖で言うなら「白砂糖」タイプだね。
塩分濃度が高いから、なめると塩辛いんだ(><)
Ⅲ. 海水塩とは?
1) ”海水塩”は、主に「粗塩」(あらしお、あらじお)のこと
☆英語では、”sea salt”(海の塩) または、 ”coarse salt” (粗い塩)
✩日本の他、ヨーロッパ沿岸地域、メキシコやオーストラリアが主な産地
✩世界で見ると、「海水塩」は4分の1程度、たいはんは陸で採取される「岩塩」なのです
「海水塩」 よりも「岩塩」のほうが世界ではメジャーなんだね!
ちなみに「岩塩」の約半分は、冬の融雪剤に使われちゃうそうですよ(–;)
2) 「粗塩」の特徴
●日本人にはなじみ深い”海水から採れる塩”
●一般的に粒が粗い
●海水の成分”にがり”(苦汁)により、ミネラル分を含む
”にがり”は、「塩化マグネシウム」をはじめとするミネラル分を豊富に含みます。
知ってる!とうふの凝固剤として使われているやつでしょ!
うん、では”海水塩”についてもっと掘り下げていきましょう!
Ⅳ. ”海水塩”の歴史,゚.:。+゚
1)日本独自の塩「伝統海塩」(でんとうかいえん)
雨が多く湿度も高い日本では、
昔から、海水を太陽と風の力で蒸発させるだけでなく、
釜で煮つめて塩をつくってきました。
これを「伝統海塩」といいます。
2)消えかけた日本の塩
長い間日本で伝えられてきた「伝統海塩」ですが、
1972年(昭和47年)、近代化の波にさらわれ🌊
・・・海水塩だけにね~
ミネラル分のない”精製塩”にシェアを奪われてしまったんです。
当時、日本中にあった塩田がすべて閉鎖されてしまったんですね😭
3)製法の復活
その後、”ミネラル不足”を心配する人々が、昔ながらの製法の復活をもとめて活動しました。
2002年(平成14年)にやっと、塩の販売は自由化され、
「天日海塩」の復活に成功、その後、天日と平釜で作る「伝統海塩」の復活も実現し今に至ります。
苦労して伝えられてきたんだね
※「海の精」さんのサイトを参考にさせて頂きました
⇒http://www.uminosei.com/uminosei/tanjyou/
Ⅴ. ”海水塩”の種類5つ(+1)
代表的な日本の塩、
「天日塩」「伝統海塩」「乾燥塩」「焼き塩」「再生加工塩」と
おすすめの「藻塩」をご紹介致します。
1) 天日塩(てんぴえん)・・・「ほししお」
☆英語:”sun salt”
☆海水をくみ上げて、天日干ししたもの
●「塩化ナトリウム」純度:80~90% 残りはマグネシウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルがたっぷり^^
●原料:国内海水100%
【 味 】
ほのかな甘さやうまみ、コクやキレがあり、バランスがよい。
【 用途 】
「かざり塩」:じっくりとける結晶を生かす。
「つけ塩」:お寿司や天ぷらに。
「つまみ塩」:日本酒に。
「お吸いもの」や「スープ」:微妙な素材の風味を引き出します。
「天日塩」はミネラルが豊富でうまみがあるよ!
2)伝統海塩(でんとうかいえん)・・・「あらしお」
☆英語:”traditional sea salt”
☆海水を塩田で濃縮したあと、平釜で煮つめる方法
●原料:国内海水100%
●にがり成分をほどよくふくみ、しっとり
●食材にしっかり密着してなじみやすい。
【 味 】
ほのかな甘さやうまみ、コクやキレ。海水由来の複雑な味、なつかしい味わい 。
素材の甘味やうまみを引き出す。
【 用途 】
「おむすび」「塩もみ・サラダ」「塩汁・スープ」「塩蒸し」「塩煮」「塩いため」「塩づけ」など、シンプルな料理に。
「つまみ塩」 :日本酒のおともに。
「ごはん」:炊くときにひとつまみ入れると、米のうまみが引き立ちます。
「伝統海塩」は海水の”にがり”が残っているから、しっとりしてるんだね
3)乾燥塩(かんそうえん)・・・「あらしおドライ」
☆英語:”dried salt”
✩「伝統海塩」を低温でほどよく乾燥したもの
☆保存に便利で、パラパラと均等に塩がふりやすい
【 味 】
直接なめると、水分によって「伝統海塩」ならではの味の変化が感じられます。
【 用途 】
「焼きもの」や「蒸しもの」:素材にしっかり付着するので、均等に下味をつけたい料理に合います。
「乾燥塩」は「伝統海塩」の湿気をとって、パラパラと使いやすくしてるんだね。
4)焼き塩・・・「やきしお」
☆英語:”grilled salt”
✩「伝統海塩」を独自の製法で高温焼成したもの
【 味 】
600℃以上の高温で焼き上げているので、湿気の原因となっている「にがり成分」が分解、
苦みがなくなり、マイルドであっさりしています。
【 用途 】
「振り塩」:炒めもの、焼魚、ステーキ
「食卓塩」:生野菜、ゆで卵、目玉焼き、天ぷら、お刺身
「焼き塩」は焼くことによって”にがり”の苦みをなくしてマイルドにしてるんだよ!
5)再製加工塩(さいせいかこうえん)
☆英語:”remanufactured salt”
☆原材料:天日海塩・海水(オーストラリアなど海外から輸入)
☆一度塩になったものに、人工的に「にがり」を添加して、再製させたもの。
✩作り方でも価格でも、「精製塩」と「自然塩」の中間、求めやすい価格です。
【 味 】
口の中に入れると塩辛さと後から若干の苦味を感じます。
【 用途 】
「食卓塩」:日本では多くの家庭で使用
「お漬物」「梅干し」「おにぎり」「漬物」「焼き物」「煮物」
「赤穂の天塩」「伯方の塩」「沖縄の塩・シママース」はこの種類
海外から輸入した食塩を日本の海水で溶かして、”にがり”を足しているのです。
”にがり”をふくんでいるのに、買いやすい価格なのはそういうことなんだ!
6) ”海水塩”の一種「藻塩」(もしお、もじお)
琥珀色の「藻塩」は、白い塩(伝統海塩)が作られる遥か昔、弥生時代からすでに作られていました。
日本の塩のルーツはこれだと言われており、万葉集には「藻塩」の歌も多数詠われています。
☆英語・・・Algae salt
✩くみ上げた海水を濃縮させ、天日干しした海藻(ホンダワラなど)を漬け込み、平釜で煮つめて作った結晶
➪これを「藻塩焼き」と言います。
☆海藻に含まれるヨードをはじめ、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルをたっぷり含んでいます。
☆色は「琥珀色」(こはくいろ)淡いベージュです。
【 味 】
海藻と海水のうまみを凝縮したまろやかな風味。
【 用途 】
「振りかけ」:ご飯にそのままかけて
「おにぎり」:「藻塩」の良さを引きだせます。
「振り塩」:和洋さまざまなお料理(ステーキ、お刺身、天ぷら、カルパッチョなど)
美味しいからぜひ試してみてね♪
Ⅵ. 「食塩」と「粗塩」の置き換えについて
1)「食塩」と「粗塩」を置き換えた時の差
「塩化ナトリウム」・・・食塩:ほぼ100% 粗塩:約85%とした場合、
小麦粉300gに「塩」2%=6g
「食塩」6g=「塩化ナトリウム」6g
「粗塩」6g=「塩化ナトリウム」5.1g 差は0.9g
約1gの差が出るんだね!
2) 「食塩」⇔「粗塩」 計算式
「粗塩」使用のレシピを「食塩」に変換するときは、×0.85(×0.8~0.9)
「食塩」使用のレシピを「粗塩」に変換するときは、×1.15(×1.2~1.1)
注)粗塩は種類によって、塩化ナトリウムの配合が違いますので、表示をよく見てから計算してくださいね!
上の式は、パン作りだけでなく全てのお料理に使えるよ!
ご訪問ありがとうございました!
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